進撃のアヤックス。メガクラブが狙う生きのいい若手がぐんぐん成長中 (4ページ目)

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中山 そのような強豪相手の戦い方も含めて、一昨シーズンのヨーロッパリーグ準優勝、そして昨シーズンはチャンピオンズリーグのグループステージで敗退と、アヤックスは地味ながら着実に実力をつけてきたことが今シーズンになって実ったということでしょうね。そのなかで選手たちも成長し、こういう結果が生まれたと。

倉敷 その時のメンバーも残っていますし、新戦力も馴染んでいます。ドゥシャン・タディッチはサウサンプトンではやや沈黙していましたが、アヤックスでは決定的な仕事をこなしています。若いチームですが責任感も感じられるようになりました。

 また伝統的に攻撃的なシステムを好むことで守備が崩壊する傾向にありましたが、チャンピオンズリーグでもクリーンシートが5試合中3試合。経験を積んだブリントがマンチェスター・ユナイテッドから帰ってきたことによってジョゼ・モウリーニョの哲学がチームに反映されるようになりました。「ジョゼ・モウリーニョならこういうやり方をする」という部分をブリントがチームメイトにうまく伝えているのでしょう。

中山 そのブリントやPSVからマンチェスター・ユナイテッドに移籍したメンフィス・デパイなど、少し前の世代のオランダ代表組はビッグクラブに移籍するのが早すぎたんでしょうね。当時タレント不足と言われたオランダ代表が2014年のブラジルW杯で予想外の3位という成績を収めたことで、ルイス・ファン・ハール監督とともに周りから過大評価されたことが、今振り返れば良くなかったように思います。

 ブリントもデパイも実力以上の評価をされてファン・ハール率いるユナイテッドに移籍して、失意とともにプレミアを去ることになったわけですが、結果的にブリントはアヤックスで、デパイはリヨンで存在感を増すようになりました。ただ、もう少し我慢してオランダでプレーを続けていたら、もっと順調なキャリアを重ねていた可能性はあったと思いますし、それを考えるとデ・ヨングやデ・リフトはもう少し大事に育ててから旅立ってほしいですね。

倉敷 クラブより先に代表チームが低迷から復活してきた印象ですね。アヤックスも名門でありながら若い世代のファンにはニューカマーに近いと思いますし、魅力がいっぱい詰まっていたかつてのオランダサッカーをまた多くの人に見せて欲しいと思います。選手を育てて、売る、を繰り返し、いつかまた強者の仲間に戻る過程を日本のサッカーファンにも見て欲しいです。

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