乾貴士が日本代表よりもベティスでの定位置争いに集中すべき理由 (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 オートマティックな戦術であれば、型にはまったようにその動きをすればいい。だが、セティエンのサッカーでは自分の動きを味方に知ってもらうこと、仲間の動きを知ることが重要であり、ともにボールを蹴って共通理解を深めていくことが大事になってくる。

 もちろん、代表でも得られるものはあるし、時間が経てばベティスの戦術もチームメイトのことも理解することできるだろう。

 だが、サッカー選手は試合で結果を残していかないと、自分の力を表現する場であるピッチに立つことすら許されない。しかもベティスは、高いレベルのプレーを要求してくるスペインのなかでも1、2を争う熱いサポーターがいるクラブである。彼らは、活躍をいつまでも待ち続けてくれるほど寛容ではない。

 ヨーロッパリーグ第2週、ドゥドランジュ(ルクセンブルク)戦。乾は先発出場し、72分にホアキン・サンチェスと交代するまでプレーした。

 この試合で乾は、オープニングシュートを放つなど、前半から積極的にゴールを目指したプレーを見せて、スタンドから驚嘆の声を引き出している。決して悪いパフォーマンスではなかった。ただ、やはり得点という結果を残すことはできなかった(結果は3-0でベティスが勝利)。

「よくはなかったですね。もうちょっと何かできると思っていたし、しないといけなかった。まあ、相手も守備を固めていて、中に人数もかけていたので、自分のところではなかなかチャンスを作れなかった。けど、サイドからいい攻撃ができていたと思うので、チームとしてはよかったと思う。ただ、自分としてはよくなかったかな、と」

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