2018.09.28

悔しい思いをバネに…。
シント・トロイデンの日本人は皆、飢えている

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 シント・トロイデンのロッカー内に響きわたる勝利の咆哮(ほうこう)が、遠くの記者室まで届いてきた。9月22日、シント・トロイデンは3位のアントワープ相手に2−0で圧勝したのだ。

今年7月に浦和レッズからシント・トロイデンに移籍した遠藤航 これでシント・トロイデンの順位はひとつ上がり、7位になった。しかも勝ち点13という数字は、5位ゲント、6位オーステンデと変わらぬもの。上位6チームで優勝・欧州カップ戦出場権を争う「プレーオフ1」の射程距離内に、シント・トロイデンは入った。

 ここまで、シント・トロイデンの戦績は3勝4分け1敗。唯一、スタンダール・リエージュに喫した2−3の負け試合も、不運を嘆(なげ)くしかない好ゲームだった。

 シント・トロイデンは予算を公表していないが、ベルギーメディアは800万ユーロ(約10億5400万円)と推定している。いずれにしても、ベルギー国内でも小クラブのシント・トロイデンには有名な選手がおらず、ヒーローは試合ごとに変わってくる。

 第2節のゲンク戦(1−1)ではGKケニー・ステッペが、第3節のロケレン戦(1−1)ではFWモハメド・ブヤ・トゥレイが、第6節のオーステンデ戦(1−0)では右ウイングバックのジョーダン・ボタカが、第7節のゲント戦(2−1)では左サイドバックのポル・ガルシアが――。今回のアントワープ戦では、左ウイングバックのキャスパー・デ・ノーレが活躍した。

 そして、日本人選手たちの活躍も見逃せない。19歳センターバックの冨安健洋は8試合フル出場と、完全にレギュラーの座を掴んだ。「冨安は毎試合ビルドアップのパスで致命的なミスもあるが、守備はしっかりしている」。それが地元紙『ヘット・べラング・ファン・リンブルフ』の愛のある指摘だ。

 遠藤航は第2節のゲンク戦で71分にピッチに入ると、その1分後には貴重な同点弾を決めて最高のベルギーリーグデビューを飾った。第4節のベフェレン(2−2)戦でも、遠藤は1ゴールを決めている。だが、プレーの質という点では、ノーゴールに終わったオーステンデ戦やアントワープ戦のほうがよかった。