ベルギーリーグで豊川雄太が今季初ゴール。久保裕也の移籍を祝福 (3ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 2週間前に豊川を取材したとき、「再来週、久保くんのいるゲントと試合をするんですよ」と、かなり楽しみにしている様子だった。久保本人も8月16日のヤギエロニア戦(ヨーロッパリーグ予選)後、「(豊川から)試合を楽しみにしている、というメッセージが来ました」と明かしていた。

 しかし、その久保はオイペン戦のメンバーに入らず、ニュルンベルク(ドイツ)のメディカルチェックに合格し、移籍を決めていた。

 今季のベルギーリーグは、7月27日のスタンダール・リエージュvs.ゲント戦で開幕。このころ、ゲントサポーターや番記者の久保に対する期待は大きかった。

 プレシーズンから絶好調で、7月26日付けの『ヘット・ラーツテ・ニーウス』紙には、「今季は久保のシーズンになるかもしれない」とまで書かれている。私が会ったゲントサポーターも、「久保はゲントですでに1年半プレーした。今季活躍すれば、我々も喜んで彼の移籍を祝福する」と期待に胸を膨らませていた。

 だが、開幕戦のスタンダール・リエージュ戦で決定機を外し、第2節のズルテ・ワレヘム戦ではPKを失敗。ともに60分あまりでベンチに下げられると、第3節のワースラント=ベフェレン戦では出場機会を失った。

「今はどこのポジションでも、僕は3番手みたいな感じなんです」

 それが、ヤギエロニア戦後の久保の言葉だった。ゲントの番記者が解説する。

「ストライカーは、アウォニティとダビッド。攻撃的MFはチャクベターゼとアンドリヤセビッチ。右ウイングはリンボンベとドンペ。確かに、どこのポジションでも久保は3番手になってしまった」

 開幕2戦のふたつの逸機が、チーム内における久保の立場を劇的に変え、一気に移籍へと加速していったのだ。

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