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ベティスのレジェンドが乾貴士に贈る
「ベティコを味方につける法」 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 そこで私はまず、友人であるルーカス・ピアゾンとアンデルソン・バンバに連絡を取った。彼らはフランクフルトで乾と一緒にプレーした経験がある。2人の共通した乾の印象は、ともにプレーしていて楽しい選手というものだった。

 とくにバンバは4シーズンにわたり彼とプレーしている。当時から「今後は成長し、より高みへいく選手」と感じていたという。頭の回転もよく、プレースタイルはアルゼンチンの選手のようでもあり、ブラジルの選手のようでもある。どんなボールも全力で奪いにいき、テクニカルで、ピッチで違いを見せられる選手というのがバンバの乾評だった。

 私はその後、ベティスの選手たちに話を聞き、日本でプレーするブラジル人選手たちからも情報を集め、乾の試合のビデオをいくつか見て、ひとつの結論に達した。乾はまさにベティスにぴったりの選手だ、と。

 ベティスは、どんなに有名でも、個性と才能を持たない選手は獲得しない。乾はそのふたつを兼ね備えていた。

 こうして乾はベティスと契約を交わした。まだロシアW杯前のことだった。これはベティスにとって大いなる幸運だった。なぜならその後1カ月もしないうちに、乾はロシアで2ゴールをマークし、「ロシアW杯でもっとも活躍した無名選手10人」のうちの1人に選ばれたからだ。もう少し契約が遅れていたなら、乾をヨーロッパの強豪にさらわれ、ベティスには来てくれなかった可能性も十分あっただろう。

 私もベティスも、乾に大きな期待をしている。彼は今シーズンのベティスで3本の指に入る重要な選手となるだろう。キケ・セティエン監督も「乾が"乾"としてプレーできるようにしたい」と言っていて、彼への期待度がうかがえる。

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