グリーズマンの「漫画みたいなシュート」でアトレティコは生き返るか (3ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Getty Images

 とはいえ、シメオネ率いるチームがその望みを叶えることが簡単ではない状況には変わりはない。5節終了時点でグループCの順位は1位チェルシー(勝ち点10)、2位ローマ(8)、3位アトレティコ(6)、4位グラバグ・アグダム(2)。アトレティコが決勝トーナメントに進出するためには、最終節、スタンフォード・ブリッジでチェルシーに勝つのはもちろん、すでに敗退が決まっている最下位グラバグが、ローマのホームで勝ち点を獲得しなければならない。自分たちではどうにもならない戦いに身を委ねなければならないのだ。

 最後まで決して諦めない。サッカーではよく使われるフレーズだが、今このフレーズが一番似合うのは、この夜、ワンダ・メトロポリターノで勝利を手にしたチームではないだろうか。

 シメオネは試合後の記者会見で「試合開始からサポーターは自分たちに力を与えてくれた。このチーム、そしてサポーターには魂がある」と話している。試合前、試合中、そして試合終了後もチャントを歌い続けたサポーター、そしてそのサポーターに応えるように再びグラウンドに姿を見せ、2週間後の決戦に向けて気持ちを高める選手たちを見ていると、奇跡が起きてもおかしくないような大きな力がアトレティコに生まれているような気がした。

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