酸素がなくてもメッシは動く!神がかり3発でアルゼンチンを救う (3ページ目)

  • 三村高之●文 text by Mimura Takayuki photo by Getty Images

 完全に後がなくなったアルゼンチンの最終節は、標高約2800メートルのキトで行なわれるエクアドル戦。すでに敗退が決まっているエクアドルだが、ホルヘ・セリコ監督は、「我々はプライドのためにアルゼンチンに勝つ」と明言し、選手にも活を入れた。

 頼みのメッシもこれまで高地は苦手にしており、キト、ボゴタ(コロンビア/標高約2600メートル)、ラパス(ボリビア/同3600メートル)で出場した代表戦の通算成績は2分け3敗と、一度も勝っていない。サンパオリ監督はかつてエクアドルリーグで指揮していたことがあるものの、酸素が薄い中でプレーするのは選手なので、たいした利点にはならない。

 アルゼンチンの命運がかかる一戦は、試合開始1分、ロマーリオ・イバーラのゴールでエクアドルがいきなり先制する。アルゼンチンでテレビ観戦していた国民のほとんどは、「これで終わった......」とあきらめた。今予選、17試合でわずか16得点のチームに、ここから2ゴールを挙げて逆転できるわけがないからだ。

 だが、奇跡は起きた。12分、アンヘル・ディ・マリアとのワンツーパスから同点ゴール。20分にはゴール正面を強引に突破し逆転弾を突き刺す。そして62分には鮮やかなループシュートを決めた。これら得点者はすべてメッシ。まさに神がかり。これまで成し遂げたことのないW杯予選でのハットトリックをこの大一番でやってのけたのだ。1-3の勝利で、まさにメッシがアルゼンチンをW杯に導いた。

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