「メッシ依存症」のバルサ。ユーベに圧勝も、もしエースを欠いたら... (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 大雑把に言えば、優れた個人能力の有無、すなわちメッシの存在が勝敗を分けた。あるいは、メッシとパウロ・ディバラの差が勝敗を分けたと言ってもいいかもしれない。ディバラが何度か訪れたチャンスをひとつでも決めていれば、試合がまったく違う流れになっていた可能性はある。ユーベには悔やまれる敗戦だったに違いない。

 しかし、裏を返せば、バルサの勝利はメッシ頼みだったということでもある。

 バルサがテンポよくパスを回し、どこからでも崩せる攻撃力を備えていたのは、もはや昔の話。メッシ、スアレス、ネイマールの強力3トップが、最大の武器にして頼みの綱となり、そして今季は、その一角であるネイマールがクラブを離れた。

 こと点を取るということに関して言えば、今季のバルサにメッシ依存の傾向が強まったとしても不思議ではない。メッシが抑えられれば、メッシがコンディションを落とせば、たちまちバルサの得点力は低下することになりかねない。

 確かにこの日、メッシはスゴかった。ひとりだけ、次元の違うスピードとテクニックを見せ、イタリア王者を相手に堂々とショーの主役を務めあげた。

 だが、それを手放しに喜んでいていいのかどうか、その判断は難しい。

 メッシ頼みのバルサと、組織の構築が進んでいるユーベ。まだ始まったばかりの長いシーズン全体を見通した時、どちらがより多くの収穫を手にしたかは、3-0のスコアからは見えてこない。

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