プレミアで最安値のチケット。誰もがハダースフィールドを愛している (3ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

「これをつけられるクラブは4つしかない。マンチェスター・ユナイテッド、リバプール、アーセナル、そしてハダースフィールド。ハダースフィールドは、イングランドのバルセロナであり、レアル・マドリードだった」と、ブースは言う(ただし、3つ星のエンブレムは公式のものではない)。

 だがその後、クラブは野心を失ってしまったと、ブースは言う。「選手にしてみれば、居心地のいいチームだった。あまりプレッシャーを感じなくていい。0-4、0-5で負けたら地元の新聞に叩かれるかもしれないが、それだけのことだ。チームが頑張っているのを見られれば、ファンはハッピーだ。3世代のファンが毎週スタジアムに通ってくるし、大きなトラブルもない」

 ブースは、ハダースフィールドのファンのいる地域の狭さがいささか問題だと考えている。「ここから30キロ行けばリーズがあるし、シェフィールドもマンチェスターもある。ハダースフィールドがファンを呼び込める地域は、30キロ四方くらいのものだろう」。スカウトするのも本当に地元の選手ばかりだったと、ブースは振り返る。「クラブは時代に取り残されていた」

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