吹き荒れるマネーの嵐で混戦に。プレミアリーグを制するのはどこだ? (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images

 また、中堅クラブに目を向けても、エバートンがすでに9000万ポンド(約130億円)の補強費を市場に投下している。FWウェイン・ルーニー(前マンチェスター・U)はフリーで獲得しているが、23歳のGKジョーダン・ピックフォード(前サンダーランド)と24歳のDFマイケル・キーン(前バーンリー)のイングランド若手有望株にそれぞれ3000万ポンド(約43億円)を使った。2年前の覇者レスター・シティも現時点で5000万ポンド(約72億円)、ウェストハム・ユナイテッドも4000万ポンド(約58億円)と、例年を上回るハイペースで投資している。

 これまでとの違いは、数字が雄弁に語る。

 2年前と比べて約1.7倍まで膨れ上がったテレビ放映権料の恩恵を受け、本稿執筆時(8月5日)でプレミアリーグ20クラブの補強総額は「9億4500万ポンド(約1360億円)」。市場閉幕まで3週間の期間を残していることを考えれば、昨夏市場の補強総額11億6500万ポンド(約1678億円)をゆうに超え、史上最高額を記録するのは間違いない。チェルシーやリバプールが獲得を狙うサウサンプトンのDFフィルジル・ファン・ダイクなどのビッグディールも残されており、市場閉幕間際には駆け込み移籍も相次ぐだろう。

 こうしたプレミアクラブによる札束攻勢と、インフレ傾向の強い今夏の移籍市場について、英紙『デイリー・テレグラフ』は「異常な状況」「クレイジー」と否定的に表現しているが、資金力増加に伴う記録的な出費により各クラブの競争力が増しているのは、今季プレミアリーグの見どころのひとつになるだろう。タイトル争いから残留争いまで、いつになく混戦模様が強まりそうだ。

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