J首位セレッソを圧倒したセビージャ。「状態が悪くてもパスは回せる」 (2ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • 川森睦朗●撮影photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFPTPGRAFIA

 20分あたりから完全にボールを支配しはじめ、ゲームはほぼセレッソ陣内で展開されるようになる。パス回しの中心になっていたのは、試合後に松田陸が「レベルが違いすぎた」と舌を巻いたステベン・エンゾンジ。相手がプレスにくればワンタッチでいなし、中央が密集してくれば大きくサイドチェンジしてボールを保持した。

 セレッソが全体的に下がり始めると、フランコ・バスケスやセルヒオ・エスクデロが強烈なミドルでGKを強襲する。それが警戒されると、今度は深い位置でも細かくつなぐ。セビージャはウィサム・ベン・イェデルの先制点まで42分を要したが、それは決まるべくして決まったものだった。

 ハーフタイム開けも試合の趨勢(すうせい)は変わらず、後半から投入されたガンソが、さっそく50分に得意のスルーパスでパブロ・サラビアの決定機を演出した。さらにその5分後、ガンソはホアキン・コレアにも絶妙なパスを通し、GKに倒されたコレアがPKを獲得。ベン・イェデルが落ち着いてこれを決めた。サントス時代にネイマールのパートナーを務めたガンソは、運動量の少ない古典的な司令塔タイプで、欧州ではまだ成功を収められていないが、この日の大阪では天才的なスキルを随所に見せつけた。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る