ドイツの若さ、チリの本気。
コンフェデ決勝は勝者も敗者も美しかった

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 7500人ものサポーターが、はるばるチリからロシアまで飛んできて、コンフェデレーションズカップ(以下:コンフェデ杯)を戦う代表チームの後押しに回った。「モスクワ、カザン、モスクワ、サンクトペテルブルク......。もう15日間、ロシアを回っているよ。ロシア人は親切で、楽しく過ごせている」。決勝戦のキックオフを目前にして、チリサポーターのひとりはそう語っていた。

ホイッスルの瞬間、ドイツは歓喜し、チリはピッチに倒れ込んだホイッスルの瞬間、ドイツは歓喜し、チリはピッチに倒れ込んだ かつてFWマルセロ・サラスとの「ササコンビ」で相手ディフェンダーを恐怖に陥れたFWイバン・サモラーノですら「自分たちの世代はまだ、本当のウイナーズ・メンタリティは備わっていなかった」と述懐するほど、タイトルとは縁のなかったチリ代表。しかし2015年、地元開催のコパ・アメリカを制したことでその殻を破ると、続く2016年のコパ・アメリカ・センテナリオでも優勝を果たした。今やチリは、すべてのタイトルを奪いにいく「ウイナーズ・メンタリティの塊(かたまり)」と化している。

 コンフェデ杯は「6大陸の王者」「W杯チャンピオンのドイツ」「W杯開催国のロシア」という選ばれし者による大会だ。「この大会で優勝すれば、チリは世界を征することになる」。そう信じているからこそ、今大会のチリはものすごく高いモチベーションでロシアに乗り込んできた。

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