またもユベントスのCL制覇叶わず。ブッフォンの夢はディバラに託す (3ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • 藤田真郷●撮影photo by Fujita Masato

 欧州フットボールを好むほとんどの人間が、愛すべきキャラクターを持つ偉大なGKへの同情を禁じ得なかったことだろう。来年の1月で40歳を迎えるブッフォンにとって、これがCL制覇の最後のチャンスだった可能性も高い。

 それでもフットボールは続いていく。品格と歴史、組織を備えるユベントスなら、間違いなく、これを糧にしてまたひとつ上の高みを目指せるはずだ。

 その意味で、パウロ・ディバラがこの敗戦からいかに立ち上がっていくのかが重要になる。次世代の旗手として期待される23歳は、初のCL決勝で本来の姿を披露できなかった。アッレグリ監督は前日の会見で、「ディバラは今季、すごく成熟した。決勝でも重圧を感じることはないだろう」と話していたが、試合後には「メンタル面がプレッシャーにさらされていた」と認めるほかなかった。

 チームで最もCL優勝経験の多いアウベスを筆頭に、チームメイトたちはこの若きエースの重圧を少しでも軽減しようと、試合前の練習から背番号21に声をかけ、スキンシップをはかっていた。開始早々にフェイントで相手をかわしていつものようにファンを沸かせたが、12分にイエローカードを受けると、そこから少しずつ歯車が狂っていく。ボールを失う機会が増え、味方との呼吸も合わなくなり、フラストレーションを表に出すようになった。

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