中国政府もチラつく、ミラン買収の真相。新オーナーで来季はどうなる?

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

試合前の本田圭佑ら選手たち。来季ミランに残るのは誰か(BUZZI/FOOTBALL PRESS)試合前の本田圭佑ら選手たち。来季ミランに残るのは誰か(BUZZI/FOOTBALL PRESS) マネーゲームに精通している者なら、今回のミランの株式譲渡の仕組みをすぐにわかるだろうが、あまり詳しくないという方には、何がどうなっているのか、さっぱり理解できなかったに違いない。注意して私の話を聞いてほしい。なぜならミランと中国人の間の取引は、まるで興奮した子ネコが遊んだあとの毛糸玉のように、複雑にもつれ合っているからだ。

 とにかく最初から、いきさつを振り返ってみよう。

 ミランに一時代をもたらしたシルビオ・ベルルスコーニもすでに齢80歳。チーム運営にも疲れ、ついに愛するミランを売却することを決心した。彼の29年にわたる治世で、ミランは28のタイトルを獲得したが、一方では負債も2億2000万ユーロ(約270億円)に膨らんだ。

 当初、ベルルスコーニは株の一部だけの譲渡を目論み、筆頭株主の座は譲らないつもりだったが、家族たちが彼に一サポーターに戻るよう迫ったのも無理はなかった。結局、ベルルスコーニは売却を決断したものの、交渉は遅々として進まなかった。最初はタイ人ブローカーのミスター・ビーが売却相手と言われたが、話はまとまらなかった。

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