酒井高徳が語るブンデス残留争い。名門キャプテンとしての重責と試練 (5ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

「そうですよ、はい。皆さんにもよく言っていましたけど、いいときのキャプテンは誰でもできるけれど、悪いときにキャプテンはどういう役割しなきゃいけないのか。この2週間、成績が悪くなって、どういうことをやったらいいか考えてきたけど、今はいい方向に自分の中で切り替えられている。やっぱり初めてということもあって、プレーの面でもいろいろと自分に足りないことがあったのかなとも思うし」

 酒井が主将になってから、ハンブルガーは好転し始めた。だからこそ、結果を出して今季を終わらなくては意味がない。

「どんなに自分が納得しても、チームを残留に導けなかったら、たとえ残り3試合どんな結果で終わっても、僕は責任を全うできなかったということになる。失敗に終わってしまったら、俺の糧(かて)にはなるかもしれないけれど、それは俺が本当に望んでることではないから。今できるすべてのことをチームに還元したいし、プレーで還元したい。自分がチームにいい影響を与えていたときの思考、動きを、自分の中で頭に叩き込んでプレーしたいと思います。簡単にこの状況を抜け出せるとは思ってないですけど、最後の最後までやるということが俺らの試練なのか、と」

 その口調は力強かった。2部降格経験のない名門クラブで主将を務める酒井が、最後にどんな爪あとを残すのか。残るはマインツ、シャルケ、ヴォルフスブルクとの3試合。不安よりも実は楽しみのほうが大きいかもしれない。

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