若いモナコがCL快進撃。18歳ムバッペを先頭に老獪ユベントスに挑む (2ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 つまり、以前からつながりのある両チームとはいえ、そこには厳然とした格の違いがある。欧州フットボールクラブを相撲の番付で表すなら、「大関」と「小結」くらいだろうか。

 しかし現時点の瞬間風速では、この格付けも意味をなさないかもしれない。コート・ダジュールの潮風に乗って、若手主体のモナコがイタリアの権威にひと泡吹かせようとしているのだ。

 モナコのレオナルド・ジャルディム監督はこの3シーズン、目覚ましい仕事ぶりで評価をメキメキと高め、今や欧州の「横綱」クラブからも興味を持たれるようになった。現在42歳のポルトガル人監督は、同胞の先達であるジョゼ・モウリーニョやアンドレ・ビラス=ボアスと同じくプロ選手の経験を持たないが、2013-14シーズンには独自の理論とメソッドで、前シーズン7位と低迷した母国の名門・スポルティングを1年で復活させた。

 若手を積極的に抜擢した上で結果を残した手腕を買われて2014年にモナコに引き抜かれると、最初のシーズンからCLでアーセナルなどを下して8強入り。オフにはそこで活躍したヤニック・カラスコやアントニー・マルシャルを放出した影響もあって、昨季は欧州の舞台で早期敗退を強いられたが、今季は的確な補強とさらなる若手の台頭によってチーム力は飛躍的に上がった。パリ・サンジェルマンの1強と目されていたリーグ・アンで首位に立ち、CLでベスト4。育成型のクラブとして、これ以上は望めないだろう。

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