曲者アトレティコの高い壁。レスター岡崎慎司、0-1ならば「御の字」 (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 たぶん、シェイクスピアが監督になる前の、うまくいっていないときのサッカーになっていたと思うんです。『(相手の攻撃が)怖くて前から(プレスに)行けない』という......。プランとしては、もう少し前から行きたかったと思う」

 レスターの強さは、前線から敵を積極的に捕まえにいくプレッシングサッカーにある。そして、高い位置で奪ってショートカウンターを発動――。つまり、「連動したプレス」と「高い位置で敵を捕まえにいく姿勢」が、このチームの生命線になる。アトレティコの分厚い攻撃にずるずると押し込まれ、本来の力を発揮できなかった、というのが岡崎の見解だ。

 しかし、レスター取材を続ける筆者は、もう少し違う見え方がした。過去3シーズンでCLファイナルに2度も進出しているアトレティコの「巧さと狡猾さ」が際立っていたからだ。

 レスターが相手センターバック(CB)にプレスをかけようとも、アトレティコのCBは自陣の深い位置まで下がってパスを回すため、FWジェイミー・バーディーも岡崎もプレスの手が届かない。

 ならばと、レスターは中盤で待ち受けてみるが、今度はプレスのかかりにくいサイドのスペースへとパスを回されてしまう。このワイドエリアを起点に攻撃の形を作られるのだから、レスターのプレッシングサッカーは、ほぼ「無力化されていた」と言っていい。

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