ベンゲル政権「終わりの始まり」。変われないアーセナルがCLで惨敗 (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 スカッドに目を向けても、質・量ともライバルクラブに比べると心もとなく、必ずどこかで息切れする。戦術も一本調子で、大胆な采配で敵を撹乱したり、相手に合わせて戦い方を猫の目のように変えたりすることはほとんどない。フランス人指揮官が志向する「パス&ムーブ」のサッカーに揺るぎない自信があるとの見方はできるが、今季プレミアリーグで「6強」とのアウェー戦は未勝利で、相手にとっては対策が講じやすいとの見方もできるだろう。

 また、栄冠に手が届かないために、主力選手から不満の声が伝わってくるストーリーも今に始まったことではない。2012年には当時チーム得点王だったFWロビン・ファン・ペルシー(現フェネルバフチェ)がタイトルを求めてマンチェスター・ユナイテッドに移籍したのは記憶に新しく、「バルセロナ愛」を口にしてスペインに戻ったセスク・ファブレガス(現チェルシー)についても、アーセナルで国内リーグの頂点に立っていれば残留を決意していたのではないだろうか。

 運営面でも、ベンゲルはブレない。堅実なクラブ経営をモットーとし、選手補強でも市場価値以上の資金を投じない。選手への報酬についても、適正価格しか出さない。これもベンゲルが名将と謳われる理由のひとつで、莫大な巨費をかけて大型補強を敢行するビッグクラブとは一線を画している。

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