トランプ現象でスペイン代表が分裂か?サッカー界に潜む独立問題 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 スペインでは国民的娯楽であるフットボールに、イデオロギーが色濃く投影されている。それにより、リーガエスパニョーラは他の国にはない熱狂の渦を生み出すのだろう。例えばバルセロナはカタルーニャ人、アスレティック・ビルバオやレアル・ソシエダはバスク人、デポルティボ・ラコルーニャやセルタはガリシア人という言語も文化も異なる地域の想いを背負い、リーグを戦っている。

 リーガの存在は、「民族主義を安定させるひとつの均衡」でもあった。

 しかしナショナリズムに触発されたローカリズムの波は、スペインでも半ば暴発しつつある。

 2014年11月、カタルーニャ地方は「スペインからの独立を問う」住民投票に踏み切り、過半数(約80%)がイエスの票を投じている。これに対してスペインの憲法裁判所は「主権に関する住民投票ができるのは中央政府のみ。従って違憲」とし、決定を一切認めていない。しかし、カタルーニャ自治政府は法整備を行ない、今年、あらためて分離独立投票をする予定だと言われる。

 万が一、独立した場合は、バルサがリーガから消えることになるだろう。なぜなら特例を除いて、ひとつの国のクラブチームが異国のリーグに参加することは認められていないからだ。

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