7部からアーセナルへ、ありえない大出世のブラモールとは何者なのか? (2ページ目)

  • 井川洋一●文text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 驚くのも無理はない。7部リーグの選手がいきなりプレミアリーグのトップクラブから興味を持たれることだけでも極めて珍しいのに、そのタイミングもまた信じがたいものだった。

「僕はベントレーの車の工場で社員として働いていたんだ。ラジエーターを取りつける生産ラインで重機に囲まれて毎日仕事をしながら、火曜日と木曜日にヘドネスフォードの練習をし、土曜日に試合をする生活だった。クタクタになる日々だったし、時にはフットボールに集中するのが難しかったよ」

 しかし、その生活は12月20日に工場から解雇通知を受けたことにより、終わりを告げる。そして、「(セミプロだったため)ヘドネスフォードからの給料だけではやっていけないので、次の仕事を探そうとした」が、その翌日にアーセナルからトライアルの打診を受けたのだ。

 その日、バーミンガム・シティーでU-23の試合に出場していたところ、たまたま会場に来ていたアーセナルのスカウト、ブライアン・マクダーモットの目に留まった。連絡を受けた代理人は、すぐにブラモールに電話をかけ、翌22日にはロンドンのトレーニング場でアーセン・ベンゲル監督が指導するガナーズのファーストチームの練習に参加し、アレクシス・サンチェスやメスト・エジルらとボールを蹴っていた。ちょっとありえない話だ。

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