未踏のルートを拓く男。田中亜土夢がフィンランドで戦い続ける理由 (4ページ目)

  • 高橋アオ●文 text by Takahashi Ao
  • photo by Jussi Eskola courtesy of HJK


 当面は海外でのステップアップを志向する田中だが、一方で槙野のように将来的な日本復帰という道は選択肢にないのだろうか。ちょうど、古巣のアルビレックス新潟は今季、残留争いの渦中で苦しいシーズンを送ったばかりだ。
  
「新潟は僕が10年間育ったチームですし、去った後もすごく気になってチェックしていました。やっぱり、J1の舞台で戦い続けてほしいという気持ちがあります。今はまだ考えていませんが、もし戻れる機会があるなら、そういうストーリーもあるのかな。

 ただ、ヘルシンキも、違う国に行ったとしても戻ってきたい街であり、チームです。スタジアムもダービー戦ではたくさんのサポーターが入りますし、ビッグマッチの雰囲気があります。でも、それ以外の試合は日本と比べたら観客は少ないですね。先日、新潟で鹿島戦を観に行きました。その時は、(観客数が)2万人を超えていて、新潟サポーターの声は選手の力になるなと実感しました」

 最後に、フィンランドで2年目の挑戦を終えて、3年目となる来季の抱負を聞いてみた。

「僕自身は(フィンランドで)ポジションが変わったことで、プレーの幅が広まりました。新潟時代はほぼサイドをやっていたのが、今はトップ下になってゴールに近くなりました。自分でも感じるのは、向こうに行ってからゴール前での落ち着きが出るようになったこと。チームが6年連続優勝していたのに、僕が入ってから2年連続で優勝していないですから、優勝したいですね。途中でいなくなるかもしれませんが」

 来シーズン、そしてその先の道筋がどうなろうと、田中亜土夢の挑戦を最後まで見届けたい。

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