今季初アシスト。エイバル乾貴士のスイッチを入れた「岡ちゃん」のひと言

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 リーガエスパニョーラ第13節、エイバル対ベティスの一戦は、3対1でホームのエイバルが勝利した。

ベティス戦に先発、後半ロスタイムまでプレーした乾貴士ベティス戦に先発、後半ロスタイムまでプレーした乾貴士 ミックスゾーンに姿を見せた乾貴士は、いつもよりほんの少し機嫌がよかった。この試合、日本人MFは先制点につながるファールを獲得したほか、セルジ・エンリッチが決めたチーム2点目をアシスト。今季初得点こそお預けとなったが、前後半ともにチャンスを作り、冬の寒さが厳しいバスク地方の山間の小さなスタジアムの温度を瞬間的に上げるだけのパフォーマンスを何度も見せた。

 日本人選手を取材している際に照れてしまうときがある。それは決して恥ずかしいとかネガティブなものではない。今日のベティス戦に関していえば37分のことだった。前節セルタ戦と同じような形で、乾がサイドチェンジのパスを鮮やかなトラップでボールを処理し、相手DFを得意の切り返しで抜き去りエリア内に侵入したシーン。チップキックで狙ったシュートはベティスGKアントニオ・アダンに阻まれた。

 思わず私が残念がったその時、ふと隣を見ると、地元記者も同じように手で頭を抱えながらこちらを見ていた。言葉にしなくても、目と目でお互い何を言いたいのかわかる一体感。そんなとき、少し誇らしげな照れが自分の中で生まれてしまうのだ。

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