CL初先発で初ゴール。なのに岡崎慎司の表情が浮かないのは? (4ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 式典では、顔をくしゃくしゃにしてプレミアリーグのトロフィーを持ち上げた。その後、場内を1周しながらサポーターの声援に笑顔で応えていた。ところが、取材エリアにやってくると、「何かやっぱり儀式みたいなのは、あんまり好きじゃないかもしれないっす」。その真意を次のように語り始めた。

「トロフィーを掲げるときはうれしいし、みんなでワーッと騒いでいるときはいいけど、もう気持ちが落ち着いているから。あのときの興奮に比べたら、自分にとっては、『次にもっと結果を残したい』って。何だか、損な性格やなと思いますよ。そうやって本当にうれしい気持ちが、僕の場合はすぐに消えてしまうので」

「もっと」「次へ」「結果を残したい」。振り返れば、岡崎はレスター加入時からずっと、前を見て走り続けてきた。「奇跡」と謳われたレスターのリーグ優勝も、あくまで通過点。だから、初先発のCLでネットを揺らしても、「目標をひとつ達成できた」(岡崎)ことに過ぎないのだろう。

「感覚で勝負しようと思っていて。試合の状況を見て、迷うことなくプレーを選んでいく。『こうかな?』って考えていたら、プレーが遅くなってしまう。それを削って、自分のなかでの考えをクリーンにしてやっていくのが、自分にとって一番の理想です。『自分はこうだ!』って主張するプレーヤーになろうかなって」

 壁をひとつ越えた岡崎慎司は、これまでと同じように、やはり前を見据えていた。

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