大ケガから驚異の回復。MLS工藤壮人が語る「妻の献身リハビリ」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AP/AFLO

「これまで大きなケガをしたことがなかったのもありますけど。正直、ここまできついとは思わなかった」と工藤は苦笑する。

「体は動かせるんで、エアロバイクとかはしていたんですが。あごに力を入れられないので、負荷はかけられない。ランニングするだけで振動も凄いんです。あごって大事なんだな、って改めて思いました」

 1カ月経って、無事ワイヤーが取れた。「晴れて戦列復帰」となりそうだが、そうは簡単にいかなかった。

「人 間って、毎日のように噛む動きをして、あごが鍛えられているらしいんです。僕は1カ月間もあごを動かさなかったから、筋肉が弱くなってしまい、口が開かな いんですよ。力を入れても、指1本入るくらいしか開かない。結局、それから1、2週間はおかゆでしたね。指が4本入ると全快らしいんですが」

 工藤がわずか1カ月半で練習に復帰したとき、周囲は驚きを隠さなかった。たとえ体を動かせるようになっても、普通は接触に恐怖感が残っていたりするものなのだ。

「周りは復帰が早い、と褒めてくれました。でも、自分としてはとにかくプレーしたい一心で。このチームに来て、まだ大きなインパクトを残していないですからね」

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