ポルトガル、劇的勝利で8強へ。勝因は「苦戦続き」とレナト・サンチェス (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 一方のクロアチアはもともと手堅いチームで穴がない。安定感は24チーム中、随一と言いたくなる充実ぶりを見せていた。よって、試合は動かなかった。お互い、チャンスらしいチャンスは訪れずハーフタイムを迎えた。

 約15分の休憩の間、ピッチ上で1人、入念にアップをしている選手がいた。ポルトガル代表の18歳、レナト・サンチェスだ。後半5分、アンドレ・ゴメスに代わり投入されるや、いきなり存在感を示した。ジョアン・マリオとのワンツーを決め、シュートに持ち込むプレーを披露した。

 その最大の魅力は馬力と直進性、それにコンタクト能力の高さだ。彼の投入を機に、ポルトガルにはエネルギーが加算されたようだった。

 布陣もクリスティアーノ・ロナウドとナニを2トップに置く、中盤フラット型4-4-2から、ウイリアム・カルバーリョをアンカーに据える4-3-3に変更した。

 クロアチアのサッカーを完成品とするならば、ポルトガルのサッカーは未完成品だ。開幕から満足できた戦いはひとつもない。試行錯誤の段階にある。逆にメンバーはいじりやすい。布陣も変えやすい。例えば、38歳の大ベテラン、R・カルバーリョは本来、代えにくい選手だ。スタメン落ちはチームの崩壊に繋がりかねない事件だが、チームがうまくいっていないという現実が、それを可能にした。変更が好ましくないものではなくなっている。

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