ウェールズに逆転勝利も、見えてしまったイングランドの「悲しい現実」 (4ページ目)
唯一の例外はウェイン・ルーニーになる。イングランドが世界に向けて誇るべき顔になるが、もはや往年のパワーはない。かつてはセンターフォワードから、左右のウイング、トップ下に至る、アタッカーと呼ばれるポジションすべてをこなすことができる多機能な選手として通ったが、今回のポジションは4−3−3のインサイドハーフ。実際は、もっと低い位置でもっぱらボールのさばき役に回った。スコールズならそこでキチンと交通整理ができた。バランスを整えることができた。ジェラードやランパードも、さすがと思わせる、インパクトを与えるプレーをしていた。
すっかり欧州のトップ選手ではなくなってしまったルーニー。チャリティマッチで見かける往年の名選手のような、頼りなさそうなフットワークを曝(さら)してしまった。孤軍奮闘する相手方のベイルとは、まさに対照的だ。
イングランドの悲しい現実を、劇的な逆転勝ちの中にも確認することができた試合だった。ウェールズの前時代的なサッカーといい、英国同士のドロドロ試合に付き合わされた恰好で、欧州の晴れ舞台で鑑賞するには、いささかつらい一戦と言えた。
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