2016.06.16

日本が学ぶべきロシアの敗戦。「大国意識」のサッカーが不幸を招く

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Hara Masashi

ユーロ初勝利を飾ったスロバキア。中央は2点目を決めたハムシク グループリーグ2週目に突入したユーロ2016。大会のアウトラインは、これを機に一歩、鮮明になっていく。

 ロシア対スロバキアはその口火を切る形で行なわれた一戦だ。初戦でイングランドに終盤追いつき勝ち点1を得たロシアと、ウェールズに惜敗したスロバキア。スロバキアは分離独立後、ユーロ本大会に初めて駒を進めた国だ。過去の実績を見れば、ロシアにとって、勝たなければならない相手だった。

 政治、経済においても、両者は強国対小国の関係にある。だが、政治、経済的にはともかく、サッカーにおける差はわずかにすぎない(最新のFIFAランキングでは24位のスロバキアが29位のロシアを上回っている)。それでもロシアには、先輩風を吹かさなければならない立場で、試合に臨まなくてはならないつらさがある。

 サッカー界で似た立場にいるのがアメリカだ。しかし、彼らはロシアと違い、チャレンジャー精神みなぎる戦いを繰り広げることができている。アメリカという名前の割に、サッカーは偉そうではない。毎度、好チームで通っている。

 サッカー界では強国ではないにもかかわらず、偉そうなムードを漂わせるロシア。スロバキアを相手にするとなおさらそれが鮮明になる。「絶対に負けられない戦い」をしていたのはロシア。宿命的というか潜在的に、彼らが背負い込んでいる不幸を思わざるを得ない試合。特に前半はそんな感じだった。