サッカーの質で初戦完勝のクロアチア。ユーロのダークホースに名乗り (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 原悦生●写真 photo by Hara Etsuo

 試合は1対0のままタイムアップを迎えた。スコアは最少失点差ながら内容的にはそれ以上差のある内容だった。クロアチアがゴールの後、幾度となく決定機をつかんだのに対し、トルコは沈黙。拙攻の山を築いた。サッカーの質という点でクロアチアに完敗した。

 だが、それでもトルコには他のチームにはない、独得の匂いを感じる。サッカーは全然よくないのにへこたれない強さを。0対3で敗れても不思議はない完敗劇であるにもかかわらず、終わってみれば1点差の接戦。最後までもつれた試合に持ち込む寝技のような力、ただでは終わらないしぶとさがある。

 MVPは決勝点を挙げたモドリッチの頭上に輝いたが、ラキティッチもひと言触れたくなるプレーを披露した。バルサでは周りを生かすようなプレーをまず考える彼だが、この日は自ら仕掛けた。縦に強いところを見せる一方で、DFに背を向けたプレーも光った。モドリッチには真似できないプレーだ。

 加えて、前で述べたとおり、4-2-3-1の3の両サイドを務めるペリシッチ、ブロゾビッチも快調だ。センターフォワードにはマリオ・マンジュキッチ(ユベントス)もいる。少なくとも、3位は十分に狙えるチーム。トルコを叩き勢いづいたと見る。

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