フランス熱狂への波が始まるか。ユーロ開幕戦はパイエが開催国を救う (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文text by Asada Masaki photo by Hara Masashi

 ルーマニアにとって、これは好都合だっただろう。相手は開催国にして、優勝候補の一角に名を連ねるフランス。相手をリズムに乗せないまま90分をやり過ごした結果、引き分けなら上出来の試合である。先制されながら、すぐに同点に追いつく展開は、狙い通りの試合に持ち込んでいると言ってよかった。

 だが、そんな(フランスにとっての)凡戦をただひとり許そうとしなかったのが、MFディミトリ・パイエだった。

1ゴール1アシストの活躍を見せたフランスのパイエ(写真右)1ゴール1アシストの活躍を見せたフランスのパイエ(写真右) 前半から巧みなキックフェイントをまじえたドリブルで突破を図るなど、何度もチャンスを作った。実際、FWジルーの先制ゴールも、パイエのクロスから生まれている。

 スタートポジションは4-3-3の左FWだったが、MFポグバに代わってFWアントニー・マルシャルが投入されたのに合わせて2列目にポジションを移すと、さらに広くピッチ上に顔を出し、ひとり気を吐いた。精彩を欠く青のユニフォームのなかで、背番号8だけは鋭い動きを見せていた。

 この試合、パイエはマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたが、もし1-1のまま試合が終わっていたとしても、同賞はパイエにふさわしかった。

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