さらばハノーファー。酒井宏樹が語った降格チームへの思いとこれから (4ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei photo by Getty Images

 シュマットケSDが去った後、ハノーファーの補強は迷走した。シュマットケSDが効果的な補強をし、1部に定着したケルンとは対照的だ。

 毎年のように主力選手が流出する一方、十分な穴埋めはできない。特に今季の開幕前には前線の選手がごっそり抜け、攻撃は清武弘嗣頼みになってしまった。ディディエ・ヤ・コナン、マメ・ビラム・ディウフ、ジミー・ブリアンといった攻撃陣の主力と契約延長できず、タダで手放してきたのも首脳陣の不手際だった。

 酒井にとってもこの4年間は順風満帆な日々ではなかった。自身のプレーは悪くなくても、チームの調子は上がらず順位は年々落ちていく。代えが利かない存在になっていたこともあって、ケガを抱えながらプレーすることも少なくなかった。だが、酒井にはそこで折れない強さがあった。

「海外はやっぱりメンタルですよね。うまくいかないことが8割、9割くらいかもしれないですけど、苦しいことがそれくらいあって、残り1割の喜びのために毎日頑張っているので」

 ドイツでの生活は慣れないことも多く、ストレス発散の手段や相談の相手も限られる。そんな厳しい環境で生き残ってきたからこそ、その場所で戦い続けたいという想いも強くなった。

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