奇跡の優勝目前。レスター市民に聞いた「レスター快進撃の秘密」 (3ページ目)
前回2011年の国勢調査では、約33万人の住民のうち、自分を「白人のイギリス人」と区分した人が半分ほどしかいなかった。レスターに住む多くの人種グループ──アジア系(主にイギリスの植民地だった南アジアのインドやパキスタンなどにルーツを持つ人々)やカリブ系、アフリカ系、混血など──の関係は非常に良好で、政策の専門家は「レスター・モデル」などと呼ぶこともある。
移民によるテロが相次いでいるヨーロッパでは、なんとも元気づけられる話だ。レスターという都市と、ここで躍進を遂げたフットボールクラブの物語が、この町のモデルについて何かを示していることは確かだろう。しかし同時に、その限界も示している。
レスターで時間を過ごすのは、楽しいけれども退屈だ。町はそれなりに繁栄しているように見える。建物はすばらしいものから、60年代に建てられた目を覆うようなものまで、さまざまだ。人々の話し方は、ていねいで落ち着きがある。僕が話をした人のなかに、クラブの躍進の「秘密」を得意げに解説するような人はいなかった。
レスターが躍進した要因は何かと聞かれたら、周到なコーチングとコンディショニング、それに優秀なのに過小評価されていた選手たち(リヤド・マフレズやジェイミー・バーディー、エンゴロ・カンテなど)を獲得したこと......といったあたりが思いつく。たぶん、運も味方した(大きな声で言わないように)。
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