ドルトムントEL8強。香川真司が「いなくても勝つ」悩ましい状況 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by AFLO

 自分が出ないでチームが負けていれば、雰囲気は悪くてもチャンスはやってくる。だが、勝ち続けているとなると、香川が常々言うように「入っていくのは難しい」。もちろんほぼ毎週2試合が行なわれているのだから、香川にも先発の機会はある。だが週末のマインツ戦で得点したにもかかわらず、その4日後の試合で先発から外されたことから浮き彫りになるのは、競争が激しいというより、香川が絶対の存在ではないということだ。

 トッテナム戦で試合そのものよりも面白かったのは、ドルトムントのような巨大スタジアムではありえない席が記者席として割り当てられていたことだった。ピッチもその周囲も狭いプレミアリーグのスタジアムでは、スタンドの最前列付近をベンチとして使用することが多い。ホワイトハートレーンでも、選手の入場口の右手の席がチームのベンチ。そのベンチを囲むように、記者席が設置されていた。

 ほぼピッチレベルのため、全体を俯瞰で見ることはできないが、選手や監督の目線に近い感覚を得ることができる。何よりベンチの様子をそのまま見たり聞いたりできるのが新鮮だ。ベンチ近くの警備員が選手に話しかけたり、ファンが写真をねだったり。試合前半、ロッカーに戻ったフンメルスが小さなバー状の食べ物を手に戻ってきて、他の選手に「欲しいか」などと聞いたりしていた。

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