データと管理。ハリルホジッチとレアル新監督の共通点 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 しかしながら、ベニテスは文句の付けられない成績を残してきた。

 02、04年にバレンシアで2度のリーガエスパニョーラ制覇を果たし、無名だったFWミスタを輝かせてスペイン人得点王にするなど、「出来合いの食材で、一流レストランの料理を出す」と賞賛された。リバプールでは05年にチャンピオンズリーグ(以下CL)で歴史に残る逆転優勝を遂げ、06年にはFAカップで戴冠、07年には再びCL決勝に進出。2010年にはインテルを率いてFIFAクラブW杯を制覇し、2013年にはチェルシーでヨーロッパリーグ、2014年にはナポリでコッパ・イタリアの頂点に立った。
 
 名将の誉れ高いベニテスだが、その戦術基礎は勉学で得たデータにあるだろう。ケガで引退して26歳にして指導者に転身したが、選手時代から大学に通い、体育学を修得した。長く走れる、速く走れる、フィジカル能力の高い選手を可愛がるのは必然と言える。

「ベニテスは選手が相手よりも多く走ることをまずは求める。プレイの創造性なんて二の次さ。体力のない選手は排除される。選手を駒のように考えているんだよ」

 かつて麾下(きか)でプレイした選手が証言するように、機械的動きが理想型だ。そして、運動能力の希求とデータ主義というのは強くリンクする。

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