オランダでコーチとなった藤田俊哉「俺はここでトップを目指す」 (5ページ目)

  • 中田徹●文・写真 text & photo by Nakata Toru

 ジュビロで半年だけ指揮を執ったルイス・フェリペ・スコラーリ(愛称「フェリポン」)は、選手を束ねる力に秀でた監督という。

「フェリポンは人心掌握術というか、人の気持ちを方向づけるのがうまい。かゆいところが分かる。伝聞だけど、モウリーニョもそういうタイプの監督だって言うよね。一方、オランダの監督は先生タイプが多い気もする。でも、やっぱりフェリポンだって魔法使いじゃないよ。フェリポンですら(ブラジル代表監督として挑んだ2012年W杯準決勝でドイツに1対7で大敗)あんなにボコボコにされてしまうのだから……。俺は魔法使いの指導者を、いまだに見たことがないんだ」

 感性のプレイを得意としていた藤田だが、指導者としては理詰めの説明が要求される。そこで悔やんでいるのが、若いころ、本をたくさん読まなかったことだ。

「現役時代の俺は、『感覚でプレイするタイプの選手』だった。でも、指導者としては、選手に説明するのに根拠が必要だし、やっぱり深く考えるよね。選手は、『自分』と『ボール』で完結するから楽。でも、指導者はそれじゃ解決しない。そこは大きな違いだよね。俺は自分でもボキャブラリーとか、表現力とかが乏しいと思う。だから勉強している。そうすると、ここが足りないなぁ……とか、自分のことが良く分かるようになる」

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