プレミアの熾烈なCL圏争い。注目は「ハリケーン」 (2ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by Getty Images

 シーズン開幕前には、監督のポチェッティーノ(現トットナム監督)のほか、FWリッキー・ランバート(現リバプール)、MFアダム・ララーナ(現リバプール)、DFデヤン・ロブレン(現リバプール)、DFルーク・ショウ(現マンU)ら主力の多くが次々に引き抜かれチームの弱体化が叫ばれたが、クーマン監督の的確な補強と手腕もあって、26節を終えて失点19はリーグ最少を誇る。ビッグクラブを相手に、そのコレクティブな守備から奪ったボールを素早く前線につなぐスタイルで挑む姿は、ときにサイドバックを務めることもある日本代表DF吉田麻也の存在を抜きにしても、見る者が肩入れしたくなるような魅力がある。

 とはいえ5チームのなかで注目すべきは、他チームが外国人助っ人を中心に戦っている中で、待望のイングランド人エースが台頭してきたトットナムだろう。

 シーズン当初はカップ戦要員と見られていた21歳のハリー・ケインは、結果を出すことでスタメンの座を手にすると、現在イングランド人トップタイのリーグ14ゴールをマーク(カップ戦を含めると公式戦37戦24ゴール!)。ビッグマッチにも強く、トットナムがホームでチェルシー、アーセナルを下した試合では、いずれも2ゴールを決めるなど、その活躍ぶりは語呂のよさから「ハリケーン旋風」と話題を呼んでいる。

 188センチの長身ながら、しなやかな身のこなしで頭だけでなく、右足、左足、ロングレンジ、直接FKとどこからでも得点が狙えるケインに対しては、早くもイングランド代表入りの期待が高まっている。元代表MFポール・スコールズ(現解説者)は「何か突出した能力があるわけではないが、ゴールを決め続けている。私の時代にはファン・ニステルローイがGKの隙を突くのがうまかったが、ケインも同じ特長を持っている」と、かつてのプレミア得点王の元オランダ代表FWを引き合いに出して評価する。3月のユーロ予選での代表デビューも濃厚だ。

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