FIFA批判止まず。欧州がW杯をボイコットする日 (3ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper
  • 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 しかし欧米諸国のボイコットは、おそらく失敗に終わるだろう。大きな問題は、非欧米諸国がFIFAのスキャンダルをほとんど気にしていないことだ。これらの国の多くはFIFAと同じように腐敗した独裁体制であり、しかもアメリカやイングランドがワールドカップに出場しなくてもまったく困らない。欧米諸国のボイコットで傷つくのは、欧米諸国のファンくらいだ。

 非欧米諸国には、FIFAを悪く言うのはワールドカップ開催国の座を逃した国々の負け惜しみだという見方もある(いくらかは当たっている)。おまけにFIFAは、欧米の金をそれほど必要としていない。この組織には、ワールドカップという永遠に尽きることのない「天然資源」があり、世界での稼ぎは増える一方だ。FIFAには国家と違って、ご機嫌をとらなくてはいけない国民もいないから、どの国に金を回すかも自由に決めることができる。

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