2014.07.26

ブラジルがドイツに学ぶべき8つの教訓

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper
  • 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】ブラジルは立ち直れるか(前編)

 10年前の7月、ドイツ代表はどん底にあえいでいた。この年に開かれたユーロ2004では1勝もできず(ラトビアにさえ勝てず)、グループリーグで敗退した。哀れな代表チームは、ドイツでコメディアンの格好のネタにされた。

 代表監督を引き受けようという人物は誰もいないように思えた。そのころ僕は、元ドイツ代表FWのユルゲン・クリンスマンに、ドイツの何が問題なのかと尋ねた。

「ゴールへの嗅覚を持っている選手が前線にいないよね」と言って、クリンスマンは笑った。「横パスを多用する癖も相変わらずだ。スピードが足りないことも、低迷の原因だろう」

W杯準決勝後のオスカル(ブラジル)とラーム(ドイツ)photo by JMPA 僕はクリンスマンに、ドイツ代表監督になるつもりはないのかと聞いた。「まさか!」と、クリンスマンは答えた。

 3週間後、クリンスマンはドイツ代表監督に就任した。クリンスマンとヘッドコーチのヨアヒム・レーブはそれまでの伝統を葬り去り、ドイツのフットボールに革命を起こした。その後アメリカ代表監督となったクリンスマンは今回のワールドカップの直前、ドイツのサッカー誌『エルフ・フロインデ』のインタビューにこたえて、新しいドイツ代表を絶賛した。