コートジボワールの両ウイングを日本が警戒しなければならない理由 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki Sugiyama
  • photo by Getty Images

 どこかの国の10番のようにトップ下に執着する様子はない。ポジションに対する不満は口にしていない。真ん中の選手からサイドの選手へ。ここ1、2年で、彼のポジションはすっかり変化した。

 4-2-2-2で臨んだ前回の南アフリカW杯。ブラジルは準々決勝でオランダに敗れた。敗因はサイドの攻防で後手を踏んだことにある。オランダの右ウイング、ロッベンにグイグイ突かれると、ブラジルの左サイドバック、バストスは専守防衛を余儀なくされた。オランダのサイドのプレイヤーは左右2人ずつ(ウイングとサイドバック)。ブラジルは各1人。その差がサイドバックに掛かる負担となって表れたわけだ。

 ラフなプレイで対応したバストスにイエローカードがかざされると、ブラジルベンチは退場を恐れてジウベルト・メロを投入。だが、それでもロッベンを止めることはできない。それを見かねて応戦に駆けつけた守備的MF、ファリペ・メロは、転倒したロッベンを故意に踏んづけてしまう。

 結果は一発退場。ブラジルはこれが響き、オランダに1対2で敗れた。

 ブラジル伝統の4-2-2-2では、世の中的に多数を占める1トップ、3FW型は止められない。南ア大会後、ブラジル代表監督に就任したメネーゼスが布陣を4-2-3-1に変更し、両サイドに各2人を置いたのは当然の決断だった。

 その後を継いだルイス・フェリペ・スコラーリ監督は、さらにそれを強固なものにした。ネイマールはより長い時間、サイドに張って構えるようになった。

 ネイマールとフルク。1トップ下で構えるオスカル(チェルシー)を加えたブラジルの第2列は、従来のブラジルとの違いが端的に示されている場所だ。

 その一方で、この4-2-3-1の3は、多くの選択肢が求められている場所でもある。2列目の3人と1トップの計4人を試合中、どう組み替えるか。その選手交替には、ワザが求められている。

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