A・マドリードCL決勝へ。モウリーニョを追い込んだシメオネの豪腕

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 チャンピオンズリーグ準決勝セカンドレグ、チェルシー対アトレティコ・マドリード。アウェーの第1戦を0-0で折り返したチェルシーは、第2戦の前半36分、フェルナンド・トーレスのゴールで先制した。

 そこでモウリーニョはどう出るか。このゲームのハイライトはそこにあった。

 このまま終われば、チェルシー勝利という状況で、攻めるのか、守るのか。

ピッチサイドのシメオネ(左)、モウリーニョ両指揮官ピッチサイドのシメオネ(左)、モウリーニョ両指揮官 第1戦のチェルシーは、意図的に守った。支配率をあえて36%に止めるサッカーをした。普段、ボール支配率にこだわらないサッカーをするアトレティコを向こうに回すと、その守備的な姿勢はより顕著に見えた。

 第2戦はどうするのか。ホーム戦で意図的に守るのは勇気が要る。スタンドを満員に埋めた地元ファンの前で、それをするには勇気が要る。相手がバルセロナやレアル・マドリードならファンもギリギリ納得するだろうが、相手は実績でも名前的にもチェルシーの方に軍配が上がるのがアトレティコだ。

 モウリーニョは、第1戦とはうって変わり、立ち上がりから積極果敢に前に出た。「モウリーニョには、状況によって戦い方を変える臨機応変さはあるが、一貫した哲学がない」とは、取材を通して知り得た複数のスペイン人記者のモウリーニョ評だ。彼はそれを地でいくような戦いをした。その結果、先制点を奪うことに成功した。

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