A・マドリードCL決勝へ。モウリーニョを追い込んだシメオネの豪腕 (2ページ目)
しかしモウリーニョは、そこで新たな難問に直面した。
第1戦のように引くべきか、観衆の期待に応えようと、なお前に出て行くか。
攻撃的なサッカーを好む監督なら、それでも前に出て行くが、臨機応変さを売りにする監督の場合はどうするのか。
少なくとも選手はアグレッシブではなくなった。前から積極的にボールを追いかけようとはしなかった。それがモウリーニョからの指示だったのかどうかは定かではない。あるいは指示が送られなかった可能性も考えられる。何となく守ってしまった。徹底不足。そんな印象を受けた。
その結果、チェルシーは先制点を奪った8分後の前半44分、アトレティコに痛恨のアウェーゴールを許すことになった。
このまま終われば、アトレティコの勝ち。後半はそうした設定で始まった。モウリーニョはハーフタイムにどんな指示を選手に送ったのだろうか。だが、臨機応変の中身は、後半が始まっても見えてこなかった。
アトレティコのシメオネは、明快だった。そのままのスコアで終わっても決勝進出が決まる状況にもかかわらず、前に出た。守りに入らず、2点目を積極果敢に狙いにいった。抑えた戦いをしていた前半とは対照的なサッカーを展開した。
勝負を分けたポイントは、ここにある。明快だったシメオネと中途半端に見えてしまったモウリーニョ。
その差を分けたのは両者の立ち位置だ。この試合で、絶対に負けられない戦いを強いられていたのはモウリーニョだ。逆にシメオネは挑戦者を装うことができた。
チェルシーとアトレティコ。モウリーニョとシメオネ。勝っても世間が驚かないのはチェルシーでありモウリーニョだ。
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