メディアの矛先は本田圭佑からミランそのものに移った (2ページ目)

  • ステーファノ・メレガリ(『Forza Milan!』編集長)●文 text by Stefano Melegari
  • 利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 こうして不穏な空気の中で始まった試合は、結局2-4でミランの完敗という最低の形で終わってしまった。ミランは1人少ない10人でよく戦い、一度は同点にまで追いついたものの、その後力尽きてパルマに追加点を許してしまった。残念ながらこれが今シーズンのミランだ。幸運の女神に見放され、結果が出せない。

 本田もまだ移籍してきて何もできないうちに、ミランのこの不運に一緒に巻き込まれてしまった。パルマ戦でも本田はセードルフに使ってはもらえなかった。この日中国のスポーツ紙から贈られたアジア最優秀選手のプレミアムが唯一の慰めだったろうか。

 このコラムでも何度も紹介してきたが、ミラネッロで見かける本田は、一日でも早くレギュラーの座を確固たるものにしようと、日々懸命に練習を頑張っている。監督のセードルフもそんな本田の様子には満足のようだ。セードルフが「セリエAのサッカーとはどんなものであるかを理解するための時間が必要だ」と言っているのはみなさんもよくご存知だろう。今はそれを待つしかない。

 本田もそれをよくわかっていて、プロらしく、なんの不平も漏らさず自分の時が来るのを待っている。彼の頭の中にはまずミランを立て直すこと、そしてその先の代表としてのブラジルW杯があるのだろう。

 しばらくはメディアの非難の的になっていた本田だが、最近では集中砲火を浴びせられることや、何でもかんでも批判されることは少なくなってきた。なにしろ本田ではなく、チームの方がひどい状態なのだ。メディアの興味は本田を叩くのではなく、ミランを叩くことに移ってきている。ミランの一員である本田にとってはそれもあまりいいことではないが、でも個人攻撃が多少やんだことで、本田はより平静を保って仕事に打ち込むことができるかもしれない。

 それに相変わらず日本のファンからは熱狂的な支持を受けている。この日曜にも10番と本田のネーム入りユニホームを着た、わざわざ日本から来たと思われる日本人サポーターを数多くサン・シーロで見かけた。

 あと数週間もすれば本田もイタリアに馴染み、ミランも彼をどのように活用したらいいかがわかってくるだろう。本田はイタリアでの飛翔の時を待っている。


オフィシャル誌編集長のミラン便り>

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