伝統の一戦 クラシコ。レアルとバルサ、それぞれの変遷

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 カップ戦も含めて過去226試合を戦い、レアル・マドリード90勝、バルセロナ88勝、そして引き分けが48。これがリーガ・エスパニョーラの誇る伝統の一戦 クラシコの通算成績である。

写真左よりC・ロナウド(写真:アフロ)、ベイル(写真:MarcaMedia/アフロ)、ネイマール(写真:アフロ)、メッシ(写真:アフロ)写真左よりC・ロナウド(写真:アフロ)、ベイル(写真:MarcaMedia/アフロ)、ネイマール(写真:アフロ)、メッシ(写真:アフロ) 数字のうえからも両者の実力がいかに伯仲しているかがうかがえるクラシコ。その長い歴史のなかには数々の名勝負が記されてきたが、最近の試合で印象深いのは、レアルをジョゼ・モウリーニョが、バルサをジョセップ・グアルディオラが率いていた時代である。

 グアルディオラが指揮を取った08~12年の4シーズン、3度のリーガ制覇を成し遂げたバルサがクラブ史に残る一大黄金期を築いたのは間違いない。相手を圧倒するボールポゼッションを生かし、"美しく勝つ"サッカーは世界中のファンを魅了した。

 その間のクラシコを見ても、グアルディオラが監督に就任した08-09年シーズンからバルサは5連勝。しかも、5連勝目となる10-11シーズンのカンプ・ノウでの試合は、5-0という歴史的大勝を収めている。

 だが、そんなグアルディオラ体制の4シーズン目、リーガ4連覇に挑んだバルサに待ったをかけたのが、モウリーニョ率いるレアルだった。

 その前季、すなわち10-11シーズンにレアルの監督に就任したモウリーニョは就任1年目こそ2位に甘んじ、リーガのタイトルをバルサに譲ったものの、コパ・デル・レイ(国王杯)では決勝でバルサを下して優勝。レアル復権の狼煙(のろし)を上げると、翌11-12シーズンではリーガでも覇権奪回に成功。ついにバルサの快進撃をストップさせた。

 また、そのシーズンのクラシコでは、サンディアゴ・ベルナベウでこそ1-3と敗れたものの、カンプ・ノウでは2-1で勝利。リーグ戦に限れば、4シーズン8試合ぶりのクラシコ勝利をレアルにもたらした。

 しかも、モウリーニョ・グアルディオラ時代に両者の対決が興味深かったのは、単に実力が接近していたからというだけではない。

 徹底した「ポゼッションサッカー」を志向したバルサに対し、堅守からの「超高速カウンター」を武器とするレアル。両者はともにヨーロッパ屈指の強さを誇りながら、それでいて正反対のスタイルだったからこそおもしろかった。

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