問われる真価。
ネイマールは不調のバルサの救世主になれるか?

  • 山本美智子●取材・文 text by Michiko Yamamoto ラファ・ウエルタ●撮影 photo by Rafa Huerta

 ネイマールがクラブに、あるいはヨーロッパのサッカーにいまだに適応していない、メッシとの相性が良くない、サントスからバルサに移籍した際の移籍金問題が取り上げられ、バルサの会長が退任する騒ぎにまで発展したことが影響している、カーニバルの時期で気持ちが浮ついている、恋人のブルーナさんと別れたばかりなので集中できていない、など、調子が上がってこない理由を探せば数多くあるが、中でも「移籍金騒動」がネイマールに影響を与えているという見方が強い。

 10日ほど前、マルティノ監督は「今のネイマールを取り巻く状況は普通ではない。私には(彼が)これまでと変わっていないように見えるが、四六時中一緒にいるわけではないし、精神的にダメージを受けるような、そういったプロセスが進んでいるのかもしれない」とネイマールが一連の騒動に影響を受けている可能性があることを初めて示唆したのだった。

 ネイマールと同じ試合に出場して、同じようにゴールできなくても、メッシにはそれほど非難は集まらない。すでに過去に十分な功績を残しており、今季負傷していたのを差し引いても、ここまでリーグ戦で15ゴールを決めており、今年だけで7ゴールをマークしている。

 クラブ自体、今季よくここまで耐えてきた、という状態にある。ネイマール獲得を積極的に進めたサンドロ・ロセイ会長が辞任し、最初はビクトル・バルデス、今月になってカルレス・プジョルと、チームを支えてきた二人が今季いっぱいで退団することを発表した。また、冬の移籍シーズンも含めて、今季はネイマール以外の補強がなく、現在のチームが抱える問題は、バルサの強化部門の弱体化を露呈しているのではないか、という見方もある。

 そして、チーム自体のパフォーマンスが精彩を欠く時、選手個人の光も鈍ることは往々にしてあることだ。それでも、チームに危機感があったからこそ、それを打ち破るための突破口としてネイマールを獲得したという意味合いは強い。

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