問われる真価。
ネイマールは不調のバルサの救世主になれるか?

  • 山本美智子●取材・文 text by Michiko Yamamoto ラファ・ウエルタ●撮影 photo by Rafa Huerta

 現在のネイマールの状態は、まさに針のむしろだ。

「ネイマール、日々、悪化する一方」「ネイマールに失望」「代表にゴールを置いてきたネイマール」など、最近、ネイマール関連の記事のタイトルは、マイナスな響きがあるものばかりだ。

今季、ここまで7ゴールと数字を伸ばせていないネイマール今季、ここまで7ゴールと数字を伸ばせていないネイマール 先日、南アフリカを相手に行なわれたブラジル代表の親善試合でハットトリックをマークし、ネイマールが再び笑顔を取り戻したかと思われた。しかし、代表戦を終えて、バルセロナに戻ってきてから2日後、アウェーのバジャドリード戦(3月8日)では、スタメン出場したものの見せ場がないまま後半に交代。試合は1-0でバジャドリードが勝利し、バルサは今季3敗目を喫した。

 それまでもネイマールのパフォーマンスを疑問視する声はあったが、非難の矢が一斉に降り出したのは、このバジャドリード戦を終えてからだ。

 バルセロナお抱えの、と言っても過言ではない地元のスポーツ紙『スポルト』に至っては、「元会長のサンドロ・ロセイが、ネイマールの移籍と獲得を急ぎ過ぎたのでは」との苦言を呈した。今年のバルセロナに必要だったのは、センターバックの補強とブスケッツに代わるフィジカルのある中盤の選手であり、メッシ、アレクシス・サンチェス、ペドロ、セスクなど前線の選手があふれるバルサにネイマールは必要ではなかったという論理だ。

 さらに不安を増大させるデータがある。バルセロナが今季27戦行なったうち、メッシとネイマールが共にスタメンを張ったのは、全体の3分の1に当たる9回。バジャドリード戦で、バルサは今季3つ目の黒星を喫したが、ふたりがスタメンでプレーし、試合に負けたのはこれが2度目なのだ。

 もちろん、7回は勝利していたわけで、この程度で警告を発するのは大げさだという声もあるかもしれない。だが、世界に数多(あまた)いるアタッカーの中でも、世界一と言われる選手とそれを引き継ぐと言われているポテンシャルの高い選手がコンビを組んでいるのだ。それに期待するなという方が無理な話だろう。

「メッシもネイマールも、バルサでワールドカップに向けてのプレシーズンマッチをしているだけなんじゃないの?」といった意地の悪い囁(ささや)きも、ちらほら聞こえてくる。ネイマールだけでなく、チームを率いるヘラルド・マルティノ監督にも、容赦ない非難の声が届いているのは言うまでもない。

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