ミランの練習場に本田圭佑のスペシャルゲストがやってきた

  • ステーファノ・メレガリ(『Forza Milan!』編集長)●文 text by Stefano Melegari
  • 利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

オフィシャル誌編集長のミラン便り(7)

 チャンピオンズリーグのアトレティコ・マドリード戦は、今季すでにCSKAモスクワのユニホームでプレイしているためにUEFAの規定から出場権がなく、本田圭佑はサン・シーロのスタンドから観戦するしかなかった。だがリーグのサンプドリア戦ではピッチに戻り、2-0でのミランの勝利に貢献した。

 この試合、チームもそして本田も良い出来で、特に前半のプレイは光っていた。ここまで多少苦労はしたものの、フィジカルコンディションも確実に上がってきており、ミランを率いて40日となるセードルフのシステムにもしっくりと馴染むようになってきた。本田の力を決して疑わず、彼をサポートしてきたミランのコーチやスタッフたちにとっては喜ばしいかぎりである。

サンプドリア戦に先発フル出場した本田圭佑(BUZZI/FOOTBALL PRESS)サンプドリア戦に先発フル出場した本田圭佑(BUZZI/FOOTBALL PRESS) 先週のボローニャ戦では交代時にサポーターからブーイングを受け、試合後はメディアからはいろいろな批判もされたが、これもイタリアサッカーに足を踏み入れた者が受けなければならない洗礼のようなものだし、なにより逆に本田の闘志に火をつけたようだ。ミランの広報部に寄せられる数多くのインタビューのリクエストを彼が一切受付けないのも、サッカーに集中したいという本田の強い気持ちの表れだろう。まずは仕事に専念し、可能な限り早くミランのメカニズムに溶け込み、ピッチで良い結果を出す。それが今の彼の一番の望みなのだろう。

 本田のとったこの選択は彼を追いかける多くのメディアにとっては不満であろう。しかし私は彼がミランにやってきた初日に本田から感じたのと、同じプロ意識を今回も感じた。入団記者会見で本田はサムライには会ったことがないと言っていたが、周囲の雑音に振りまわされず、信念を持って自分の仕事に黙々と打ち込む彼の姿には確かにサムライスピリットが感じられた。

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