「死の組」イングランド代表に、悲観論渦巻く (2ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by GettyImages

 イングランドは6月14日にイタリア、19日にウルグアイ、24日にコスタリカと対戦する。元イングランド代表MFで解説者のクリス・ワドルは、イタリアとウルグアイを「手強い相手」だとし、こう続けた。

「ウルグアイは攻撃力があり、イタリアはユーロ2012(決勝トーナメント1回戦で対戦)でのPK戦負けを思い返しても、ゲームプランに優れている。すごく難しいグループに入ったと言えるし、突破するにはジェラード、ルーニー、A・コールらが最大限のプレイをしなければならない。もちろん心情的には勝って欲しいと思っている。ただ、冷静に考えれば勝つのは困難だ。最悪の事態も想定すべきだ」

 また、元イングランド代表FWのアラン・シアラーも、「イングランドの選手はみなW杯で成功を収めたいと思っているだろうが、正直グループリーグを突破できるとは思わないし、突破できると思っている人はそう多くはないはずだ」と、厳しいコメントをしている。

 イタリアには、かつてマンチェスター・シティで怪物と称されたストライカー、マリオ・バロテッリが君臨し、ウルグアイのエース、ルイス・スアレスもリバプールでゴールを量産している。イングランドにすれば彼らの実力は痛いほどわかっている。

 スアレスは今季もプレミアリーグで、シーズン序盤の5試合を出場停止で欠場しながら、16節消化時点で17ゴールと、得点王争いのトップに立つ。「スアレスを誰が止めるんだ? イングランド中を探しても、そんなDFはいないのでは......」と、嘆き節のメディアも少なくない。そして、「最終戦で中米のコスタリカに勝ったとしても、先の2戦で勝ち点を挙げられなければ手遅れになる」(BBC)。

 一方でガーディアン紙は、抽選前にホジソン監督が「最も避けたい」と発言していた高温多湿のマナウス(時差もあり、拠点となるリオデジャネイロから空路で約5時間もかかる)でイタリアと初戦を戦うことも指摘。「最も過酷な地であるアマゾンも引き当てた」と、気候や移動距離の問題が悲観論に輪をかけている。

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