「死の組」イングランド代表に、悲観論渦巻く

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by GettyImages

 12月6日のW杯グループリーグ組み合わせ抽選以降、英国メディアでは「グループリーグ突破は絶望的!」(デイリー・メール紙)と悲観論が渦巻いている。

 抽選会の翌日には、デイリー・ミラー紙が「グループDは文字通り『Death』(死)のD」と打てば、サン紙は「神よ、我々を助けたまえ!」と神頼みに入った。

 それも無理はないかもしれない。「イタリアとウルグアイと同居なんて、ほとんど第1シードの国が2チーム入ったようなもの」(ロイ・ホジソン監督)で、その両チームはいずれもW杯優勝国である。つまり、イングランドを含めてW杯史上初めて優勝経験のある3チームが同グループとなったのだ。当日、中継をしていたBBCのアナウンサーが、思わず「悪夢の抽選結果」と嘆いたのも頷(うなず)ける。

ブラジルW杯に闘志を燃やすイングランド代表ウェイン・ルーニーブラジルW杯に闘志を燃やすイングランド代表ウェイン・ルーニー ちなみに会場でクジを引いたのは、元イングランド代表で、66年W杯の西ドイツとの決勝でハットトリックを決めて初優勝に貢献したレジェンド、ジェフ・ハーストとあって、文句も言えない。ハーストは直後に、冗談半分で「イングランドに再入国できるだろうか?」とツィートしていたという。

 ホジソン監督とともに会場入りしていたFA(イングランドサッカー協会)のグレッグ・ダイク会長が、抽選結果を受けて、悪戯(いたずら)っぽく指で喉をかき切る仕草を見せたことも話題となった。これも、いかにイングランドが厳しいグループに入ったかを表しているといえるだろう。

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