相手が恐れるような強豪ではなくなったマンUの現状 (2ページ目)
だが失点シーン以前に、ユナイテッドは試合運びに問題があるように見えた。試合の立ち上がりは勢いを持って入った。エルナンデスやヤヌザイ、フェライニ、クレバリーと、このところ先発の機会が減っていた中盤から前線のメンバーがピッチに立ったことで、明らかに意欲が形になって出ていた。エルナンデスは高い位置からボールを追いかけ、ヤヌザイはサイドから鋭い好パスを供給する。一方のカーディフもユナイテッドのゴールに迫るが、最後の精度を欠くために怖さはない。
ユナイテッドの16分の先制点は、そんな中で生まれた相手のミスに乗じたものだった。CBからSBへの緩いパスをMFバレンシアがあっさり奪い、エルナンデスを経由しFWルーニーが巧みに相手をかわしてネットを揺らした。ここまでの流れは、完全にユナイテッドのものだった。
1点が入ったことでユナイテッドの試合運びにはゆとりが生まれる。そしてこのゆとりが悪い方に作用した。もう1点を取りにいって試合を決めるのではなく、最終ラインと中盤が2本のきれいなラインを形成し、引いて守る時間帯に転じる。後ろで奪って、長いボールを前線へ。少ない人数で相手ゴールに迫る、彼ららしいとも言える戦いに転じるのだ。だが、かつての堅守が見られなくなった今のユナイテッドは、これによって苦しくなる。
カーディフはシンプルながら中盤で確実にボールを奪って前につなげ、チャンスを作り始めた。33分には中盤でパスをつなぎ、右サイドのキャンベルへスルーパス。キャンベルはユナイテッドのCBエバンスの裏を取り、Gとの1対1を制して同点弾を叩き込んだ。
その後、ユナイテッドはSBエブラの一撃で再び突き放しハーフタイムを迎えた。リードして折り返すのだから問題がないように見えるが、やはり1点を与えたことが試合に影響を与える。カーディフにユナイテッド相手にも戦えるという自信が生まれ、後半はさらに勢いを強めて入ることになった。チームとしてあきらめることもなく、それが試合終盤のセットプレイからの同点弾につながるのだ。
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