2013.08.27

チェルシー戦で浮き彫りとなった、新生ユナイテッドの問題点

  • 鈴木英寿●文 text by Suzuki Hidetoshi photo by Getty Images

 マンチェスター・ユナイテッドの新監督に就任したデイビッド・モイーズにとって、本拠地オールド・トラッフォードでの初の試合。しかも相手は、今季からジョゼ・モウリーニョが率いる昨季3位のチェルシー。開幕して間もないビッグマッチを前にして、現役時代にイングランド代表の主砲だったアラン・シアラーは、「(新監督のもとでの)新たな時代が輝かしくなるのか、否か。ユナイテッドのファンは、いまだに確信を持てないでいる」と指摘した。「今夜、モイーズに必要なのは、優勝争いのライバル相手に勝利を収め、自信を得ることだ」。

いきなりの天王山となったチェルシー戦で輝きを放ったのは、移籍騒動で揺れるルーニーだけだった 著名識者がこう語るのには、理由があった。

 ユナイテッドの主将を務めるDFネマニャ・ヴィディッチは、試合当日に掲載された『サン』紙の独占インタビューでこう語っている。

「昨季、俺たちはプレミアリーグで優勝した。でも、いまだに『ユナイテッドは十分に良いチームだったのか?』という声が聞こえてくるんだ。このチームに懐疑的な人々が存在するんだよ。俺はこのチームは進化していると思うのだが……」

 今季、ユナイテッドへの懐疑的目線は、攻撃陣に向けられている。

 ポゼッションスタイルの最高ランクに位置するバルセロナにせよ、カウンタースタイルを極めたドルトムントにせよ、近年チャンピオンズリーグで上位に躍進したチームは、ファイナルサードにおける攻撃形が洗練されている。卓越したボールテクニックを有し、わずかなスペースでも的確にパスを供給できるパサー。惜しみない運動量による質の高い走り込みにより、複数のパスコースを作り出していくパスの受け手――。バルサやドルトムントのイレブンは、攻撃に参加する選手の大半がこの両方の役割を演じられるのだ。