【CL】圧勝レアル・マドリード。10度目欧州王座へ唯一の心配とは? (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • photo by Mutsu KAWAMORI/MUTSU FOTOGRAFIA

 また、守備に関しても試合前の目標であった無失点を達成。セルヒオ・ラモス、バランのCBコンビは、ここまでチャンピオンズリーグ得点王であるブラクとドログバにチャンスらしいチャンスも与えず、7試合ぶりの零封に貢献した。特筆すべきはフランス代表の19歳のDF、バランである。高い身体能力とベテランのようなカバーリング能力を兼ね備えており、ペペから定位置を奪取。バルセロナ戦、マンチェスター・ユナイテッド戦でも先発出場するなど、急激な成長を見せている。

 この試合ではシャビ・アロンソ、セルヒオ・ラモスが警告をもらい次節出場停止に。試合後の会見でモウリーニョは「彼らはチームの主力選手。これでメンバーを決めるのが難しくなった」と表面上は主力不在を嘆いてみせたが、逆にいえば、ここで出場停止処分を消化することによって、準決勝以降を見据えた小さなミッションをクリアしたとも言える。サンティアゴ・ベルナベウの第1戦、レアル・マドリードは望みどおりの結果を手に入れた。

 イスタンブールでの第2戦に向けてこれ以上のない結果を得たチームだが、モウリーニョは解決しなければいけない問題をひとつ、抱えている。それは戦線復帰を果たしたカシージャスの扱いだ。

 モウリーニョは「ディエゴはこの70日間で13試合に出場し良いプレイをしているが、カシージャスは1試合も出ていない。どちらのフォームが良いかは明らか」と、ディエゴ・ロペスの起用が理にかなったものであることを説明した。だが、スペインメディアは「世界一のGKが試合に出ないのはおかしい」「カシージャスとの確執から起用していないのだ」という論調を展開している。

「サッカー界は少なくとも自分たちや選手に公平でないといけない」と、モウリーニョは周囲に影響されることなくコンディションの良い選手を起用することを宣言している。このため、カシージャスがコンディションを整えるその日まで、チームにとって何のプラスにもならない論争が続くのは火を見るより明らかだ。この生産的ではない論争が、10度目の欧州王者の座を狙うレアル・マドリードにとって唯一の足かせになりかねない。

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